回送運行許可の条件は、大きく販売実績と人的条件と設備条件があります。
販売実績の条件は、全国の運輸局ごとに定められています。一例を挙げると、関東運輸局管内では、申請前の3ヶ月間で36台の自動車販売、中国運輸局管内では、申請前の3ヶ月間で30台の自動車販売、近畿運輸局管内では、申請前の6ヶ月間で60台の自動車販売を行なっている必要があります。
人的条件ですが、ディーラーナンバーの貸与を受けた後、営業所で管理していくことになりますので、管理責任者としてディーラーナンバーの管理責任を負うことができる従業員や役員が必要です。
設備条件としては、ディーラーナンバーを保管する場所として、鍵のかかる金庫やキャビネットなどの設備が必要になります。
最も大きな条件は、販売実績になりますので、これから回送運行許可申請を行ない、ディーラーナンバーの取得を目指す場合は、販売実績の管理を行ない、実績をクリアできるようにしなければならないと言えます。
回送運行許可を受ける条件として、最も重要な販売実績ですが、実際の回送運行許可申請の際には、販売実績を陸運局に証明する必要があります。
その際に必要となる書類は、古物台帳(中古車販売の場合)、販売に関する注文書や売買契約書、オートオークションからの計算書などがあります。陸運局により取扱いが異なりますが、古物台帳は必須で、その他の書類があるとより万全です。
また、陸運局によっては中古車販売の場合、販売車両の仕入れに関する証明書類を求められることもあります。
販売実績のカウントについては、原則として1車両の販売で1台とカウントします。
ただし、関東運輸局管内では、輸入車、いわゆる外車の販売と大型車(車両総重量8,000kg以上、最大積載量5,000kg以上、又は乗車定員30人以上)は、1台の販売で2台とカウントすることができます。
販売の定義ですが、一般ユーザーへの販売、業者への販売、オートオークションへの販売をカウントすることができますが、輸出販売で輸出したものは販売とカウントすることができません。これはディーラーナンバーの利用が許されるのは、国内の自動車販売・流通に関連する活動においてのみ認められていることに関係します。
回送運行許可申請するにあたり決めなければならない事項は以下のとおりです。
大きくは以上5つの項目を定めることになります。
回送運行許可申請先は、営業所の所在地を管轄する運輸支局、または自動車検査登録事務所になります。 営業所を複数お持ちの場合は、主の営業所を定め、その営業所の所在地を管轄する運輸支局、または自動車検査登録事務所に申請します。
なお、神戸は神戸運輸監理部、沖縄は沖縄総合事務局にて申請します。
回送運行許可の許可期間は少し特殊になっています。
回送運行許可期間は最長5年という表現になっていて、少しわかりづらくなっています。 その意味するところは、次の許可期限は、平成27年11月30日までとなっていて、どの回送運行許可事業者も同じ日に許可期限がやってきます。
つまり平成22年12月1日に許可となった回送運行許可事業者は、5年間許可を受けますが、平成26年12月1日に許可となった回送運行許可事業者は1年間許可を受けることになります。ですから最長5年で、あとは回送運行許可事業者ごとに3年だったり、1年だったりという違いがあります。少し不公平な面もありますが、このような取扱いになっています。
回送運行許可を受けると、以下の3点をもらえます。
回送運行中は、上記のうち2、3を使用します。1は基本的に使うことはないので、額に飾るか保管すれば良いです。
ディーラーナンバーは、回送運行許可を受けた事業によりその利用方法が異なります。
中古車販売などの自動車販売という事業のカテゴリーで回送運行許可を受けた場合は、自動車販売活動に関わる中で、車検なしの自動車を回送運行する場合に使用することができます。
例えば、販売が決まった車検なしの自動車の車検を取り、名義変更を行なう場合に陸運局へ訪問するための使用、また車検なしの自動車を仕入れた場合に、仕入先から自社営業所への回送運行は合法です。一方で、他社の自動車の自走による陸送を請負、金銭を受けることは、自社の自動車販売業務ではないため違法です。こういった陸送を行なう場合は、陸送業というカテゴリーで回送運行許可を受ける必要があります。
一概に回送運行許可を受けることができないとは言えません。
ただし、ディーラーナンバーは、あくまでも「自社の自動車販売業務に付帯する業務」のおいて使用することができることになっていますので、自動車販売を行なっていない自動車整備工場や板金工場の場合は、回送運行許可を受けることはできません。
また、仮に自動車整備事業と中古車販売事業を行なっている場合でも中古車販売事業以外の整備事業の自動車の回送運行にディーラーナンバーを使用することはできません。
自賠責保険は、ディーラーナンバーに対して加入することになります。これは様々な自動車にディーラーナンバーを付けて走行することが予定されているためです。
自賠責保険に加入したことを証明(保険証券の提示)できなければ、ディーラーナンバーの貸与を受けることはできません。
回送運行許可に許可期限がありますが、ディーラーナンバーについても許可期限が定められています。ディーラーナンバーの許可期間は、貸し出し期間と考えた方が分かりやすいかもしれません。
ディーラーナンバーの貸し出し期間は、回送運行許可の期間中であることを前提に、1年以内の1ヶ月ごとに決めることができます。
例えば、3ヶ月ごとに貸し出し期間を更新しても良いですし、6ヶ月ごとでもかまいません。もちろん12ヶ月間として1年に1回、更新の手続きをしてもかまいません。
一部、陸運局によっては、回送運行許可を受けた初回のディーラーナンバーの貸し出しについては2ヶ月や3ヶ月程度に設定するケースもあります。これは、ディーラーナンバーの利用を開始すると管理帳票を記帳していかなければならないため、その管理帳票の記帳状況を短いスパンで確認するために初回を短く設定したい、という意図です。
ディーラーナンバーの貸与組数は、回送運行許可事業者の販売実績に応じて変わってきます。 販売実績が多ければ多いほど、ディーラーナンバーの貸与可能組数が増加していきます。 一例では、3組の貸与を希望する場合は、3ヶ月間の販売台数が、54台程度は確保する必要があります。
なお、陸運局によっては回送運行許可を受けた当初は、複数の貸し出しを認めないケースがありますので、注意が必要です。
実態調査とは、回送運行許可申請を受けた陸運局が申請者の自動車販売事業の実態を把握するために実施するものです。
陸運局担当者が営業所に訪問してくる場合や回送運行許可申請者が陸運局に訪問して面談する場合などがあります。
必ず実施する陸運局とそうでない陸運局があります。 傾向としては地方の陸運局は人員の問題や担当地域が広いといった物理的な事情から実施されないこともあります。
実態調査で実施される内容は、概ね以下のようなものになります。
特に、販売実績の確認、回送運行許可関連のルールの理解度の確認やディーラーナンバー取得後の利用方法などについては重要です。
あとは、鍵付きの保管庫の確認がありますので、物理的な面で不可にならないよう準備をしておく必要があります。
ディーラーナンバーの貸与を受けた後の管理は、回送運行許可事業者が自ら行なわなければなりません。
特に管理帳票の作成や記帳が必要になりますので、社内でしっかりと管理・運営をしていかなければなりません。
管理方法などは、回送運行許可に関する社内取扱内規や回送運行許可に関する公示などに詳しく記載されているので参考にすると良いでしょう。
管理帳票はいくつかありますが、最も使用するのはディーラーナンバーの使用記録簿です。
正式には、回送運行許可証及び番号標記録簿(第22号様式)といいます。これは、ディーラーナンバーを使用するたびに、使用日、使用車種の特定、運行場所、使用者、使用時間などを記入し、管理責任者がチェックすることになり、こういった記録を残していく帳票になります。 ためてしまうと面倒なので、日々必ず記帳していくことが必要です。
定期的に陸運局に訪問する必要はありませんが、ディーラーナンバーの使用期限前に、使用の更新手続きをする必要がありますので、少なくとも1年に1回はディーラーナンバーに関連する業務のため陸運局へ訪問することになります。
回送運行許可申請時以外にも実態調査が実施される場合はあります。
回送運行許可期限5年間の間に、1回程度書面により実態調査が実施されます。 内容は、直近1年の管理帳票の提出などになっています。 帳票の書き漏れなどがあると非常に大変です。
現在の回送運行許可は、平成27年11月30日までとなっています。引き続き回送運行許可を受けたい者は、この許可期限の2ヶ月前(9月30日)までに新規申請と同じような内容で回送運行許可申請を再度実施することになります。
この場合は、販売実績も申請前の3ヶ月間をカウントすることにありますので、このときに条件として定められている販売実績を超えていなければ回送運行許可を受けることができなくなりますので、十分な注意が必要です。
基本的に、回送運行許可申請と回送運行許可更新申請も同じです。
ディーラーナンバーを紛失した場合は、速やかに所轄警察署へ遺失物届を提出します。 その後、回送運行許可において定められる紛失届を作成して遺失物届けと一緒に、陸運局へ届出します。
ディーラーナンバーを紛失した場合は、ペナルティとして一定期間ディーラーナンバーの利用停止措置などを受けることがありますので、注意が必要です。
【北海道運輸局】
北海道
【東北運輸局】
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【中部運輸局】
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【近畿運輸局】
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【神戸運輸監理部】
兵庫
【中国運輸局】
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【四国運輸局】
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【九州運輸局】
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【沖縄総合事務局】
沖縄